第5回産直交流会が11月6日山形市ビッグウィングにて開催されました。
2014.12.02
第5回産直交流会が11月6日(木)山形市ビッグウィングで開催され、生産者、組合員、職員、
175人の参加で産直交流を行いました。
午前は、農産共同購入58名、農産センター26名、米19名、畜産27名、鶏卵24名の各分科会に分かれて交流を行いました。
共同購入分科会では、DVDによる交流の様子を見た後、はじめて3つの分散会を行いました。組合員からは、生産者のみなさんとたくさん話ができてよかったと好評でした。また米分科会では仮払金の暴落で、ほんとうにショックを受けている。私達は米作りをやめるわけにはいかない。有機栽培や特別栽培など苦労をして作っているのでみなさん消費者は買い支えてほしいと話がありました。
お昼は共立社謹製 地産地消山形大好き弁当が提供され、またおたのしみの農産即売会では大谷果樹組合、のんのん倶楽部、天道産直センター、JAそでうら、ひなた村、ジオンジファーム、村木沢あじさい営農組合、舟形マッシュルームの各団体から自慢の果物野菜加工品等を提供いただきました。在来野菜なども出品され、生産者との会話も弾みました。
開会のあいさつ
午後から全体会が開かれ、廣部公子副理事長より、多忙の中参加いただいた皆さんへのお礼の言葉に続き、この産直交流会の意義と目的を改めて確認しました。そしてTPP交渉が進められる中で日本の農畜産漁業物のいろんな価値をもう一回見直し、産直交流を広めながら日本の食生活を守っていきたいと挨拶がありました。
記念講演 「在来作物で味覚のレッスン!」人と人をつなぐ在来作物~地域の味覚と感性を守る食のコミュニティーを求めて よみがえりのレシピ映画監督 渡辺智史さん
在来作物、スローフード運動
最初に渡辺監督は会場のみなさんに「在来作物」の認知度について尋ね、多くの手が上がり浸透していることに感心され話を切り出しました。種を守る農家の方を描いた映画「よみがえりのレシピ」を撮ることになったきっかけに触れ、2008年の毒入り餃子事件後、日本と世界の食の現場の問題が取りざたされ世界中の食の問題を扱った映画日本で上映されたのを見る中で、大量生産、大量消費の食の現場を見てその殺伐とした風景に興味を持ったこと。それまでは一消費者として食べるだけだったが1980年代にはじまったスローフード運動を知り、特に種の問題にひかれ、農業の原風景を撮りたいと思ったと話されました。タイトルにあるレシピという言葉には処方箋という意味も込められているといわれました。そして改めて在来作物とはの説明があり、なぜ消滅していったかにも触れられました。山形大学の研究会の調査で山形県には穀物、果樹、花、山菜なども含む160種の在来作物があることを話されました。続いて在来作物11種類が紹介される「よみがえりのレシピの」予告版を見ました。京野菜、加賀野菜は商業ブランドとしては有名だが、山形の在来作物は生活に密着している文化として継承されているという点ですばらしく、庄内が米の亀の尾に代表されるように民間育種の盛んな土地柄であったこと、例として新潟生まれ、庄内育ちの自家採種を繰り返して美味しくなった「だだちゃ豆」を取り上げました。また山大の江頭先生、奥田シェフを風の人、在来作物を作ってきた生産者を土の人と表現し、風の人と土の人が手を携えた時に、在来作物や地域の本当の価値が発見され多くの人々が関心をもち、共感を得ることができたと話されました。また観光資源としての在来作物の価値といろんなネットワークの可能性についても話がありました。
来作物で味覚のレッスン
スローフード運動にもある子供の味覚教育は1990年からフランスでは国を挙げて行われてきました。日本でも秋に東京で「味覚の1週間」という取り組みが行われていますが、よみがえりレシピ制作委員会では、いろんな食文化がある日本、そして山形で味覚を育んでいくには、地元の食材、できれば郷土料理を使っていくのがいいのではないかということになり、この映像を見てから親子で味覚のレッスンをするスタイルをとっていて2年前から県内で活動を行っている。やってみると新しい料理の食べ方には関心が高いがお吸い物など和食の基本である出汁を使った料理がなかなか理解されない、茶わん蒸しも食べられない子が結構いる。やはり日本食中心で考えていかないと繊細な味覚は育たないというのが現場での実感。一方柿の白和えなどは聞いてみると家で作ったことがない、食べたこともないという料理で、食べてみたらこんなにおいしいのかとみんながとびつく。郷土料理がほんとうに食卓にのぼらなくなっている。実は新しい料理、高級な料理よりも郷土料理の方が味覚教育にすぐれているのはないか、あるいは単純においしかったりするものがたくさん眠っている。作物だけでなく郷土料理なども含めて次の世代にどう継承していくのかを提案していきたい。いきなり郷土料理を説明するのではなく、食材を生で食べたり、加熱の違いで味の違いを楽しむなど子供たちの感性を大事にしている。それは食材自体の特性を見極めていく勉強になる。料理に対する考え方も変わってくる。
在来作物と郷土料理を地域の宝として
味覚は10歳前後で決まるといわれている。そして頭で考えて食べる味ではなく、純粋に味を感じることができ、素直に表現できるのもこの年齢までです。この時期に在来作物に触れ、実際に郷土料理を作って食べることは食育になるし、地域の食文化を考えるきっかけにもなる。最近のニュースで都会の子供の味覚障害が増えていることについて取り上げていたが、調査では5つの味のうちひとつでもわからない子供が全体の10%になっていた。やはり普段から濃い味付けのもの、油っこいもの、ケチャップやソースで味付けをしたものを食べている。人工甘味料や濃い味付けの加工食品を好むので肥満になりやすい。まさに1980年代にスローフードを提唱した方々の危惧したことが、いまの日本の現実になっている。
まだ今からでも行動を起こせば子供たちの味覚を育んでいけるのではないかと思っている。在来作物と郷土料理を地域の宝として、子供たちの味覚を育んでいくときに活用していきたいと思っている。
生産者の取組み報告Ⅰ 金山町 エヌシップ(株) 代表取締役 長倉直人さん
私は31歳です。役員は同級生、正社員も同級生がほとんど、就農を開始したのは平成22年で、それまでは仙台で仕事をしていましたが、なぜ戻ってきたかというとかなしいことに実家が火事にあい、諸事情により後を継ぐことになった。それまでは正直農業が好きではなかったがせっかく土地もあるということでやってみることにしました。1年きゅうりを栽培して収支計算してみると思ったよりお金になった。それではということで会社を立ち上げ大きくしていこうと思いました。しかし会社運営はそんなに簡単なことではなくて、1年中何かしら栽培していないと従業員もついてこないので26年の1月に「かまくら野菜」販売開始ということで、雪の下に貯蔵した野菜を販売した。その時に規格外商品が出て、はじいたものをどうやって売ろうかなと考えて加工もしていきたいと6次産業化総合化計画認定で「えぬふぁーむ」を設立し、ジェラートなどの加工品も販売始めた。「農業とは農作物を作るだけではなく、口に入るまでが農業」の基本理念のもとに作物を作っている。農薬は最小限にしている。ニンジンの株間の除草は手作業で、コンパニオンプランツ(混植)をうまく使って農薬を減らし、元肥は半分は有機質肥料にして地力のアップを図っています。かまくら野菜は雪の下で貯蔵することによって糖度をあげ、甘い野菜になります。センターではかねやま旬菜倶楽部の一員として、共同購入では来年の1月ごろからニンジンとキャベツを扱ってもらえることになったので今一生懸命仲間と栽培に取り組んでいる。ご利用よろしくお願いいたします。
生産者の取組み報告Ⅱ 大谷果樹組合 広報部長 遠藤直裕さん
はじめに昨年産直40周年を迎えたこと、それはずっと皆さんに支持してもらってきたからと組合を代表して感謝の言葉がありました。私は現在42歳で、私が生まれたときに産直が始まった。大谷果樹組合のりんごの特徴は味にこだわり、堆肥と有機質肥料の「ぼかし肥料を」を使用し健全な土づくりを継続している。皆さんと交流をしながら、おいしい旬の時期に共同購入、センターとも切れ目なく様々のりんごを出荷してきた。今も全国の農業者と交流を続けている。高校卒業後岩手、東京で農水省管轄の農業大学校で4年間、全国の農家の後継ぎとともに学び活動しその後の大きな財産になった。長崎西海みかんの部会長は親友でこの学校の同級生です。りんご栽培では長野県や青森県など主要りんご産地に出向き新しい品種の情報や栽培技術の視察などもを行い、日々研究をしている。
朝日町では近年若手の新規就農者が増えており、それにともないこれまでなかった若手農業者の情報交換と交流を目的とした「若い衆の会」を当組合の2人が発起人になって発足させ、悩みを話しあったり、新しいアイデアを出し合っている。将来の夢は時代に合った産直の継続と農地の継承。まずは産直半世紀をめざし、これまで先輩方が築いてきた歴史を汚すことなく新たな取り組みにも挑戦していきたい。農地は耕し続けてこそ農地、しっかりと管理し、次世代にしっかり継承していきたい。子供のころ一番印象に残っていることは畑にきて交流会でおいしいといわれたこと、生協祭りでの試食のやり取りを幼心に楽しんだことを積み重ねてきたので息子にもそういう経験させたい。私には生協との産直があるので、さらに強固なものにしていきたい。あと20年後息子が農業を継ぎたいといってくれるような魅力的な農業の取り組みにしていかなければいけない。そのためにもこれからも末永く面倒見てください。
組合員の取り組み報告 Ⅰ 「銀山アスパラ」交流会の取り組み 北村山生協 秋葉貞子さん・大山浩子さん
7月31日、北村山生協組合員14名、事務局6名で共立社としてはじめて銀山アスパラ生産者との交流会を行いました。銀山アスパラは2010年より共同購入で取り扱いが始まりました。年々人気が出て特に夏アスパラの食味の良さ、柔らかさが人気です。生産者西塚さん両名の紹介と銀山アスパラの概要について説明がありました。休耕田を利用して10町歩の広さで耕作している。耕作方法を工夫し尾花沢の自然の恩恵を受けることで夏場でもみずみずしいアスパラが取れます。畝を高くしそこに水を流すことで十分に吸水させることができること、畝の間隔を広くとり十分に日にあてることで鮮やかな夏アスパラになります。
園地で撮れたてのアスパラを生で試食しました。みんなが生は初めてです。その甘さ、みずみずしさにびっくりでした。畑の見学後生産者の西塚さんのご自宅でアスパラ料理・漬物・尾花沢すいかを出していただいての昼食交流会になりました。海苔にアスパラを巻いて味噌をつけて食べるなどアスパラの新しい食べ方・新メニュー、詳しい作り方を奥様方に教えていただき楽しい交流会になりました。来年は全地域の交流会も検討していると聞きましたがみなさんも交流会を企画してみてはいかがですか。
組合員の取り組み報告 Ⅱ 庄内浜文化伝道師によるお魚料理講習について コープよねざわ 吉澤紀代子さん
私達コープよねざわは2005年に設立され、来年で10周年を迎えます。共立社の中では1番若い生協です。まだまだ組合員は少ないですが協同の輪を広げるべく活動しています。そのなかに産直活動もあるわけですがまだ共同購入では山口農園さんのウコギの取扱いがあるくらいです。
その中で人気なのが庄内浜文化伝道師によるお魚料理講習です。米沢は海から遠いため、メニューも魚種も一般的なものが多いです。そのために庄内浜のお魚料理が勉強できると開催当初から多くの人数が集まりました。魚の種類もメニューも豊富です。この取り組みを続けてきたからでしょうか。最近では庄内浜の鮮魚便、庄内丸も人気があります。福島からの避難者で太平洋のお魚よりは日本海のお魚を食べたいと希望する方が多く、庄内丸がきっかけで組合員加入もあるようです。もちろんわたしも一番最初から庄内丸を注文しており毎月一回楽しみに待っています。スーパーに比べ、鮮度、味はぴか一です。発送までの手間は大変だと思いますが海から遠い米沢ではとてもファンが多いですので是非庄内丸、お料理講習は今後も続けていってほしいと思います。
職員の取り組み報告 Ⅰ コープ東北産直協議会参加報告 山形支部 配送担当 阿部美鈴
7月の初めに参加した北海道での報告です。たまにWEEKでたまねぎやジャガイモが載っていますがその隣に写っているのが私です。一戸農場では、有機栽培をはじめるきっかけになったのは20年前農薬の使い過ぎで土をダメにしてしまったこと。病気と農薬のいたちごっこによって土が壊れてしまったそうです。そのため病気の土を直すために有機栽培を始めた。成果は1年目から出たが今でも直らない畑もある。畑は土が命、いい土作りをすれば農業の7割は成功したといえる。農薬を使っている人に有機農業を提案しているが、どうしても実際に痛い目にあわないとその気にならないようだ。有機栽培の困難では人手の確保、天候不順などで、コストがかかってしまうこと。規格外のものが多くなってしまう可能性があげられました。見学のあとの協議会では消費者との交流会ができてよい。安定供給を目指しているが欠品することの怖さがある。また私の畑で獲れたものだけでなく、「大雪を囲む会」の取り組みを増やしてほしい。次の日はJAきたみらいを訪問し馬鈴薯の圃場巡回に参加、適正農業規範の内容について確認しました。2日間を通し生産者の皆さんや他の生協の方々と交流して多くのことを学びました。実際に配達している商品を作っている方々に会えたという喜びも感じることができました。私は配送をしており、消費者に直接会う機会は多くありますが、生産者に会って話をするということはほとんどありません。ですが、今回は圃場を一緒に見学するだけでなく、懇親会も含め意見を交換する機会が多くありました。その中で生産者の方々が日々何を思い、何を考えているのかを一片だけではありますが、知ることができました。
今後は、自分が学んできたこと、生産者の方々から聞いてきた沢山の話をしながら、商品のよさについて、生産者の想いについて、一人でも多くの方に伝えていきたいと思う。みなさんもぜひ一度食べてみてください。
職員の取り組み報告 Ⅱ
大谷果樹組合産直りんご交流会、目ぞろえ会に参加して 共同購入 新庄支部長 齋藤慎也
私は生まれも育ちも酒田で、5年ぐらい前に寒河江支部にいたときに初めてりんごの木を見て、木になっているりんごがかわいい(笑)と写真に撮ったりして心癒されことを思い出しました。今回が初参加ですが当日は春先の天候に恵まれ、生育は順調との説明を受けましたが、鳥の被害はなんともならないとお手上げの様子でした。 目ぞろえ会とは生産者と組合員でいっしょに規格を決めることで、恥ずかしながら私はこのように規格を決めていることを知りませんでした。(ここで決められた規格は最後まで企画に適応される)今回は「つがる」の目ぞろえをしましたが消費者としては真っ赤なりんごがおいしそうに感じましたがりんごのお尻の方が青いりんごの方が青いりんごの方が出荷に適していておいしく食べられるとのことでした。
産直交流に参加して支部に帰って活かすことでは、生協の産直では生産者の思いをしっかりと職員が感じて理解することが大事だなと思った。新庄支部では週1回自分がお勧めしたい商品を試食して自分でプレゼンする商品学習会を下期からやっています。私も職員の一人としてまずは今回のりんごのことをお勧めしていきたいと思いました。
永年産直団体表表彰 山形南陽のんのん倶楽部 10年
のんのん倶楽部の鈴木社長に廣部副理事長より、感謝状と記念品をお渡ししました。
あいさつで鈴木さんから、10年続けてこれたのも皆さんのご支援によるもの、また先日の水害被害のカンパ金をたくさんいただいたことに対し改めて感謝の言葉がありました。最近しみじみ感じることは私たちは最近かっこいいことを言っているがその実は自分の損得勘定ばかり考えている社会になってしまった。そんな中で私たちのパートナーである生協さんが、協同という精神を主張して、一生懸命実現のためのその努力は私たちと共通する点があるので、私たちも食べてもらえる消費者の立場や思いを感じて、これからもおいしいなーと言っていただける農産物の生産に
励んでいきたい。
閉会のあいさつ
安達専務理事より閉会のあいさつがありました。いつも生協の活動にご協力をいただきありがとうございます。各地域からの多数の組合員のご参加ありがとうございます。そして今日は天気も良く生産者の皆さんにとっては仕事がはかどる日を生協の産直交流会に割いていただいてありがとうございます。 先月「しあわせのたね」という舞台を見ました。サブタイトルは「いのちの種はどこからくるのか知っていますか」です。在来野菜の自家採種の種、F1の種についてテーマにされているものです。F1だと未来に子供を残せない。残しても役に立たないという種、どちらもいい点悪い点があり、その多様性をしっかり認めるのが重要。もっと重要なことは、野菜を買って食べる消費者がそのことを知らないというのは間違いではないのか。きちんと知ったうえで自分で選択をすることが必要。個人的に感銘を受けたことは、食べ物を貨幣と交換する価値、損得勘定で考えると単なるものの売り買いになっている時代。食べ物すべていのち、いのちのやりとりをしている。いのちをいただいて我々は生きているし、こころもそのいのちによって養しなわれている。そのいのちを未来の子供や孫にしっかり残していくことが大事。生協も産直三原則だけではなく「いのちのやりとり、そして未来に豊かにつなげる」という新たなテーマを持って今後とも発展させていきたい。
産直交流会にご参加されたみなさん、長時間にわたりお疲れ様でした。そしてありがとうございました。
175人の参加で産直交流を行いました。
午前は、農産共同購入58名、農産センター26名、米19名、畜産27名、鶏卵24名の各分科会に分かれて交流を行いました。
共同購入分科会では、DVDによる交流の様子を見た後、はじめて3つの分散会を行いました。組合員からは、生産者のみなさんとたくさん話ができてよかったと好評でした。また米分科会では仮払金の暴落で、ほんとうにショックを受けている。私達は米作りをやめるわけにはいかない。有機栽培や特別栽培など苦労をして作っているのでみなさん消費者は買い支えてほしいと話がありました。
お昼は共立社謹製 地産地消山形大好き弁当が提供され、またおたのしみの農産即売会では大谷果樹組合、のんのん倶楽部、天道産直センター、JAそでうら、ひなた村、ジオンジファーム、村木沢あじさい営農組合、舟形マッシュルームの各団体から自慢の果物野菜加工品等を提供いただきました。在来野菜なども出品され、生産者との会話も弾みました。
開会のあいさつ
午後から全体会が開かれ、廣部公子副理事長より、多忙の中参加いただいた皆さんへのお礼の言葉に続き、この産直交流会の意義と目的を改めて確認しました。そしてTPP交渉が進められる中で日本の農畜産漁業物のいろんな価値をもう一回見直し、産直交流を広めながら日本の食生活を守っていきたいと挨拶がありました。
記念講演 「在来作物で味覚のレッスン!」人と人をつなぐ在来作物~地域の味覚と感性を守る食のコミュニティーを求めて よみがえりのレシピ映画監督 渡辺智史さん
在来作物、スローフード運動
最初に渡辺監督は会場のみなさんに「在来作物」の認知度について尋ね、多くの手が上がり浸透していることに感心され話を切り出しました。種を守る農家の方を描いた映画「よみがえりのレシピ」を撮ることになったきっかけに触れ、2008年の毒入り餃子事件後、日本と世界の食の現場の問題が取りざたされ世界中の食の問題を扱った映画日本で上映されたのを見る中で、大量生産、大量消費の食の現場を見てその殺伐とした風景に興味を持ったこと。それまでは一消費者として食べるだけだったが1980年代にはじまったスローフード運動を知り、特に種の問題にひかれ、農業の原風景を撮りたいと思ったと話されました。タイトルにあるレシピという言葉には処方箋という意味も込められているといわれました。そして改めて在来作物とはの説明があり、なぜ消滅していったかにも触れられました。山形大学の研究会の調査で山形県には穀物、果樹、花、山菜なども含む160種の在来作物があることを話されました。続いて在来作物11種類が紹介される「よみがえりのレシピの」予告版を見ました。京野菜、加賀野菜は商業ブランドとしては有名だが、山形の在来作物は生活に密着している文化として継承されているという点ですばらしく、庄内が米の亀の尾に代表されるように民間育種の盛んな土地柄であったこと、例として新潟生まれ、庄内育ちの自家採種を繰り返して美味しくなった「だだちゃ豆」を取り上げました。また山大の江頭先生、奥田シェフを風の人、在来作物を作ってきた生産者を土の人と表現し、風の人と土の人が手を携えた時に、在来作物や地域の本当の価値が発見され多くの人々が関心をもち、共感を得ることができたと話されました。また観光資源としての在来作物の価値といろんなネットワークの可能性についても話がありました。
スローフード運動にもある子供の味覚教育は1990年からフランスでは国を挙げて行われてきました。日本でも秋に東京で「味覚の1週間」という取り組みが行われていますが、よみがえりレシピ制作委員会では、いろんな食文化がある日本、そして山形で味覚を育んでいくには、地元の食材、できれば郷土料理を使っていくのがいいのではないかということになり、この映像を見てから親子で味覚のレッスンをするスタイルをとっていて2年前から県内で活動を行っている。やってみると新しい料理の食べ方には関心が高いがお吸い物など和食の基本である出汁を使った料理がなかなか理解されない、茶わん蒸しも食べられない子が結構いる。やはり日本食中心で考えていかないと繊細な味覚は育たないというのが現場での実感。一方柿の白和えなどは聞いてみると家で作ったことがない、食べたこともないという料理で、食べてみたらこんなにおいしいのかとみんながとびつく。郷土料理がほんとうに食卓にのぼらなくなっている。実は新しい料理、高級な料理よりも郷土料理の方が味覚教育にすぐれているのはないか、あるいは単純においしかったりするものがたくさん眠っている。作物だけでなく郷土料理なども含めて次の世代にどう継承していくのかを提案していきたい。いきなり郷土料理を説明するのではなく、食材を生で食べたり、加熱の違いで味の違いを楽しむなど子供たちの感性を大事にしている。それは食材自体の特性を見極めていく勉強になる。料理に対する考え方も変わってくる。
在来作物と郷土料理を地域の宝として
味覚は10歳前後で決まるといわれている。そして頭で考えて食べる味ではなく、純粋に味を感じることができ、素直に表現できるのもこの年齢までです。この時期に在来作物に触れ、実際に郷土料理を作って食べることは食育になるし、地域の食文化を考えるきっかけにもなる。最近のニュースで都会の子供の味覚障害が増えていることについて取り上げていたが、調査では5つの味のうちひとつでもわからない子供が全体の10%になっていた。やはり普段から濃い味付けのもの、油っこいもの、ケチャップやソースで味付けをしたものを食べている。人工甘味料や濃い味付けの加工食品を好むので肥満になりやすい。まさに1980年代にスローフードを提唱した方々の危惧したことが、いまの日本の現実になっている。
まだ今からでも行動を起こせば子供たちの味覚を育んでいけるのではないかと思っている。在来作物と郷土料理を地域の宝として、子供たちの味覚を育んでいくときに活用していきたいと思っている。
生産者の取組み報告Ⅰ 金山町 エヌシップ(株) 代表取締役 長倉直人さん
私は31歳です。役員は同級生、正社員も同級生がほとんど、就農を開始したのは平成22年で、それまでは仙台で仕事をしていましたが、なぜ戻ってきたかというとかなしいことに実家が火事にあい、諸事情により後を継ぐことになった。それまでは正直農業が好きではなかったがせっかく土地もあるということでやってみることにしました。1年きゅうりを栽培して収支計算してみると思ったよりお金になった。それではということで会社を立ち上げ大きくしていこうと思いました。しかし会社運営はそんなに簡単なことではなくて、1年中何かしら栽培していないと従業員もついてこないので26年の1月に「かまくら野菜」販売開始ということで、雪の下に貯蔵した野菜を販売した。その時に規格外商品が出て、はじいたものをどうやって売ろうかなと考えて加工もしていきたいと6次産業化総合化計画認定で「えぬふぁーむ」を設立し、ジェラートなどの加工品も販売始めた。「農業とは農作物を作るだけではなく、口に入るまでが農業」の基本理念のもとに作物を作っている。農薬は最小限にしている。ニンジンの株間の除草は手作業で、コンパニオンプランツ(混植)をうまく使って農薬を減らし、元肥は半分は有機質肥料にして地力のアップを図っています。かまくら野菜は雪の下で貯蔵することによって糖度をあげ、甘い野菜になります。センターではかねやま旬菜倶楽部の一員として、共同購入では来年の1月ごろからニンジンとキャベツを扱ってもらえることになったので今一生懸命仲間と栽培に取り組んでいる。ご利用よろしくお願いいたします。
生産者の取組み報告Ⅱ 大谷果樹組合 広報部長 遠藤直裕さん
はじめに昨年産直40周年を迎えたこと、それはずっと皆さんに支持してもらってきたからと組合を代表して感謝の言葉がありました。私は現在42歳で、私が生まれたときに産直が始まった。大谷果樹組合のりんごの特徴は味にこだわり、堆肥と有機質肥料の「ぼかし肥料を」を使用し健全な土づくりを継続している。皆さんと交流をしながら、おいしい旬の時期に共同購入、センターとも切れ目なく様々のりんごを出荷してきた。今も全国の農業者と交流を続けている。高校卒業後岩手、東京で農水省管轄の農業大学校で4年間、全国の農家の後継ぎとともに学び活動しその後の大きな財産になった。長崎西海みかんの部会長は親友でこの学校の同級生です。りんご栽培では長野県や青森県など主要りんご産地に出向き新しい品種の情報や栽培技術の視察などもを行い、日々研究をしている。
朝日町では近年若手の新規就農者が増えており、それにともないこれまでなかった若手農業者の情報交換と交流を目的とした「若い衆の会」を当組合の2人が発起人になって発足させ、悩みを話しあったり、新しいアイデアを出し合っている。将来の夢は時代に合った産直の継続と農地の継承。まずは産直半世紀をめざし、これまで先輩方が築いてきた歴史を汚すことなく新たな取り組みにも挑戦していきたい。農地は耕し続けてこそ農地、しっかりと管理し、次世代にしっかり継承していきたい。子供のころ一番印象に残っていることは畑にきて交流会でおいしいといわれたこと、生協祭りでの試食のやり取りを幼心に楽しんだことを積み重ねてきたので息子にもそういう経験させたい。私には生協との産直があるので、さらに強固なものにしていきたい。あと20年後息子が農業を継ぎたいといってくれるような魅力的な農業の取り組みにしていかなければいけない。そのためにもこれからも末永く面倒見てください。
組合員の取り組み報告 Ⅰ 「銀山アスパラ」交流会の取り組み 北村山生協 秋葉貞子さん・大山浩子さん
7月31日、北村山生協組合員14名、事務局6名で共立社としてはじめて銀山アスパラ生産者との交流会を行いました。銀山アスパラは2010年より共同購入で取り扱いが始まりました。年々人気が出て特に夏アスパラの食味の良さ、柔らかさが人気です。生産者西塚さん両名の紹介と銀山アスパラの概要について説明がありました。休耕田を利用して10町歩の広さで耕作している。耕作方法を工夫し尾花沢の自然の恩恵を受けることで夏場でもみずみずしいアスパラが取れます。畝を高くしそこに水を流すことで十分に吸水させることができること、畝の間隔を広くとり十分に日にあてることで鮮やかな夏アスパラになります。
園地で撮れたてのアスパラを生で試食しました。みんなが生は初めてです。その甘さ、みずみずしさにびっくりでした。畑の見学後生産者の西塚さんのご自宅でアスパラ料理・漬物・尾花沢すいかを出していただいての昼食交流会になりました。海苔にアスパラを巻いて味噌をつけて食べるなどアスパラの新しい食べ方・新メニュー、詳しい作り方を奥様方に教えていただき楽しい交流会になりました。来年は全地域の交流会も検討していると聞きましたがみなさんも交流会を企画してみてはいかがですか。
組合員の取り組み報告 Ⅱ 庄内浜文化伝道師によるお魚料理講習について コープよねざわ 吉澤紀代子さん
私達コープよねざわは2005年に設立され、来年で10周年を迎えます。共立社の中では1番若い生協です。まだまだ組合員は少ないですが協同の輪を広げるべく活動しています。そのなかに産直活動もあるわけですがまだ共同購入では山口農園さんのウコギの取扱いがあるくらいです。
その中で人気なのが庄内浜文化伝道師によるお魚料理講習です。米沢は海から遠いため、メニューも魚種も一般的なものが多いです。そのために庄内浜のお魚料理が勉強できると開催当初から多くの人数が集まりました。魚の種類もメニューも豊富です。この取り組みを続けてきたからでしょうか。最近では庄内浜の鮮魚便、庄内丸も人気があります。福島からの避難者で太平洋のお魚よりは日本海のお魚を食べたいと希望する方が多く、庄内丸がきっかけで組合員加入もあるようです。もちろんわたしも一番最初から庄内丸を注文しており毎月一回楽しみに待っています。スーパーに比べ、鮮度、味はぴか一です。発送までの手間は大変だと思いますが海から遠い米沢ではとてもファンが多いですので是非庄内丸、お料理講習は今後も続けていってほしいと思います。
職員の取り組み報告 Ⅰ コープ東北産直協議会参加報告 山形支部 配送担当 阿部美鈴
7月の初めに参加した北海道での報告です。たまにWEEKでたまねぎやジャガイモが載っていますがその隣に写っているのが私です。一戸農場では、有機栽培をはじめるきっかけになったのは20年前農薬の使い過ぎで土をダメにしてしまったこと。病気と農薬のいたちごっこによって土が壊れてしまったそうです。そのため病気の土を直すために有機栽培を始めた。成果は1年目から出たが今でも直らない畑もある。畑は土が命、いい土作りをすれば農業の7割は成功したといえる。農薬を使っている人に有機農業を提案しているが、どうしても実際に痛い目にあわないとその気にならないようだ。有機栽培の困難では人手の確保、天候不順などで、コストがかかってしまうこと。規格外のものが多くなってしまう可能性があげられました。見学のあとの協議会では消費者との交流会ができてよい。安定供給を目指しているが欠品することの怖さがある。また私の畑で獲れたものだけでなく、「大雪を囲む会」の取り組みを増やしてほしい。次の日はJAきたみらいを訪問し馬鈴薯の圃場巡回に参加、適正農業規範の内容について確認しました。2日間を通し生産者の皆さんや他の生協の方々と交流して多くのことを学びました。実際に配達している商品を作っている方々に会えたという喜びも感じることができました。私は配送をしており、消費者に直接会う機会は多くありますが、生産者に会って話をするということはほとんどありません。ですが、今回は圃場を一緒に見学するだけでなく、懇親会も含め意見を交換する機会が多くありました。その中で生産者の方々が日々何を思い、何を考えているのかを一片だけではありますが、知ることができました。
今後は、自分が学んできたこと、生産者の方々から聞いてきた沢山の話をしながら、商品のよさについて、生産者の想いについて、一人でも多くの方に伝えていきたいと思う。みなさんもぜひ一度食べてみてください。
職員の取り組み報告 Ⅱ
大谷果樹組合産直りんご交流会、目ぞろえ会に参加して 共同購入 新庄支部長 齋藤慎也
私は生まれも育ちも酒田で、5年ぐらい前に寒河江支部にいたときに初めてりんごの木を見て、木になっているりんごがかわいい(笑)と写真に撮ったりして心癒されことを思い出しました。今回が初参加ですが当日は春先の天候に恵まれ、生育は順調との説明を受けましたが、鳥の被害はなんともならないとお手上げの様子でした。 目ぞろえ会とは生産者と組合員でいっしょに規格を決めることで、恥ずかしながら私はこのように規格を決めていることを知りませんでした。(ここで決められた規格は最後まで企画に適応される)今回は「つがる」の目ぞろえをしましたが消費者としては真っ赤なりんごがおいしそうに感じましたがりんごのお尻の方が青いりんごの方が青いりんごの方が出荷に適していておいしく食べられるとのことでした。
産直交流に参加して支部に帰って活かすことでは、生協の産直では生産者の思いをしっかりと職員が感じて理解することが大事だなと思った。新庄支部では週1回自分がお勧めしたい商品を試食して自分でプレゼンする商品学習会を下期からやっています。私も職員の一人としてまずは今回のりんごのことをお勧めしていきたいと思いました。
永年産直団体表表彰 山形南陽のんのん倶楽部 10年
のんのん倶楽部の鈴木社長に廣部副理事長より、感謝状と記念品をお渡ししました。
あいさつで鈴木さんから、10年続けてこれたのも皆さんのご支援によるもの、また先日の水害被害のカンパ金をたくさんいただいたことに対し改めて感謝の言葉がありました。最近しみじみ感じることは私たちは最近かっこいいことを言っているがその実は自分の損得勘定ばかり考えている社会になってしまった。そんな中で私たちのパートナーである生協さんが、協同という精神を主張して、一生懸命実現のためのその努力は私たちと共通する点があるので、私たちも食べてもらえる消費者の立場や思いを感じて、これからもおいしいなーと言っていただける農産物の生産に
励んでいきたい。
閉会のあいさつ
安達専務理事より閉会のあいさつがありました。いつも生協の活動にご協力をいただきありがとうございます。各地域からの多数の組合員のご参加ありがとうございます。そして今日は天気も良く生産者の皆さんにとっては仕事がはかどる日を生協の産直交流会に割いていただいてありがとうございます。 先月「しあわせのたね」という舞台を見ました。サブタイトルは「いのちの種はどこからくるのか知っていますか」です。在来野菜の自家採種の種、F1の種についてテーマにされているものです。F1だと未来に子供を残せない。残しても役に立たないという種、どちらもいい点悪い点があり、その多様性をしっかり認めるのが重要。もっと重要なことは、野菜を買って食べる消費者がそのことを知らないというのは間違いではないのか。きちんと知ったうえで自分で選択をすることが必要。個人的に感銘を受けたことは、食べ物を貨幣と交換する価値、損得勘定で考えると単なるものの売り買いになっている時代。食べ物すべていのち、いのちのやりとりをしている。いのちをいただいて我々は生きているし、こころもそのいのちによって養しなわれている。そのいのちを未来の子供や孫にしっかり残していくことが大事。生協も産直三原則だけではなく「いのちのやりとり、そして未来に豊かにつなげる」という新たなテーマを持って今後とも発展させていきたい。
産直交流会にご参加されたみなさん、長時間にわたりお疲れ様でした。そしてありがとうございました。